受動喫煙の防止対策 - 法令と対策措置についてわかりやすく解説
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近年、受動喫煙による深刻な健康被害が様々なメディアで取り上げられています。
2000年代以降、急激に耳にすることが増えた「受動喫煙」という言葉ですが、具体的にはどういったことを指しているのでしょうか?
このページでは、受動喫煙防止対策をご紹介いたします。具体的な対策としてどのようなことをしないといけないのか、計測にお悩みの方は是非お役立て下さい。
受動喫煙について
受動喫煙とは、喫煙により生じる副流煙(喫煙者が吸い込む主流煙に対して、タバコの先から出ている煙)、呼出煙(喫煙者自身が吐き出した煙)を発生源とする、 有害物質を含む環境タバコ煙に曝露され、それを吸引することを指します。
これにより、目のかゆみやくしゃみ・鼻水などの急性影響のほか、がんや心臓疾患、呼吸器系疾患など様々な疾病の危険性が高まるなどの慢性影響も生じるとされています。
WHOの調査では、最大で世界で年間数十万人が受動喫煙により亡くなっているとも言われており、 世界的に抑制・防止の動きが広がっています。
受動喫煙に関する法令 まとめ
平成15年5月 | 受動喫煙防止法(健康増進法)施行。多数の人が集まる場所(一般の飲食店や学校、商業施設や事務所など)でも他の客や店員に受動喫煙をさせないよう勧告するもので、受動喫煙被害の責任は、タバコを吸う人ではなくその場所を管理する事業者と定められたことが大きな特徴です。 |
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平成17年2月 | WHOの「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)」批准。タバコ規制のための措置についての枠組みを提供するものであり、現在及び将来の世代の保護を目的とし、たばこ消費の削減に向けて、広告・販売への規制、密輸対策を求めたものです。 |
平成25年3月 | 第12次労働災害防止計画 公示。「平成29年までには、受動喫煙を受けている労働者の割合を15%以下にする。」という目標が厚生労働省により設定されました。 |
平成26年6月 | 「労働安全衛生法の一部を改正する法律」 公布。職場の受動喫煙防止対策に係る規定は、平成27年6月~施行 |
平成29年1月 | 受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)を厚生労働省が公表。受動喫煙防止対策の更なる強化を目指し、単なる努力義務としてだけではなく、違反した場合には罰則が盛り込まれる見通しとなっています。 |
上記でも示されているように、受動喫煙には健康増進法と労働安全衛生法という二つの法律が深くかかわっています。
管理者は、これらに基づいて受動喫煙防止のための措置を講じる努力義務があります。
なお労働安全衛生法の適用を受ける事業所が、多数の者が利用する空間を兼ねている場合は、 従業員及び施設を利用する者両方の受動喫煙防止対策に努めなければいけないため、注意が必要です。
では受動喫煙を防止するための措置とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
厚生労働省より、受動期杖防止措置を講じる際の効果的な手法、及びその効果を確認するための測定方法の例を示されていますので ご紹介させていただきます。
受動喫煙防止のための措置について
受動喫煙防止のための措置について、厚生労働省は以下のように示しています。
事業者は、当該事業者及び事業場の実情を把握・分析した結果等を踏まえ、 実施することが可能な労働者の受動喫煙防止のための措置のうち、もっとも効果的な措置を講ずるように努めること。
具体的にとられる措置としては、以下のようなものがあります。具体的にとられる措置としては、以下のようなものがあります。
- 屋外喫煙所の設置(屋内全面禁煙)
- 喫煙室の設置(空間分煙)
- 喫煙可能区域を設定した上で当該区域における適切な換気の実施
定期的に職場の空気環境の測定を行い、適切な空気環境を維持するよう努めること。
担当部署を決定し、推進計画を策定すること。
受動喫煙に関する教育を行い、意識の高揚を図ること。
情報を収集し、衛生委員会等に適宜報告すること。
受動喫煙に関する測定について
単に措置を講じるだけではなく、その効果を確認するため、継続的に測定を行うことも重要です。
では具体的にどのような計測器を使い、どのように測定を行うのが適切なのでしょうか。
- 箇条書き
- 受動喫煙防止対策を変更する度、速やかに行う
- おおむね3ヶ月以内ごとに1回以上定期的に測定する
ただし測定の結果が良好である場合は、測定頻度を1年に1回まで減らしても差し支えない。
また、一酸化炭素濃度については、同様の条件及び浮遊粉塵濃度との相関が確認された場合は測定を省略することができる。
喫煙室内に向かう気流 | 浮遊粉じん濃度 | 一酸化炭素濃度 |
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※1 相対濃度計(光散乱式粉じん計)を使用した場合は、質量濃度変換係数(K値)を用いて濃度に換算すること
作業環境測定に順次、3年間保存することです。
屋外喫煙所の設置(屋内全面禁煙)
建物出入り口における浮遊粉じん濃度が増加していないことを確認する建物出入り口における浮遊粉じん濃度が増加していないことを確認する
建物入り口等から屋内側に1m入った地点(床上約1.2~1.5mまでの一定の高さ)を目安とすること建物入り口等から屋内側に1m入った地点(床上約1.2~1.5mまでの一定の高さ)を目安とすること
1. 喫煙者がいない状態で各装置を稼動させ、扉や窓を開いた状態で、数分後に浮遊粉じん濃度の測定を1分間隔で行い数値が安定していることを確認する。(バックグラウンド値)
2. 喫煙者が最も多いとされている条件で本測定を行う。
喫煙を開始してから5分後までを目安とし、測定間隔は1分を目安とする。
喫煙室内に向かう気流、浮遊粉じん濃度及び一酸化炭素濃度が、非喫煙区域において以下を満たしていることを確認する
- 箇条書き
- 喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2m/s以上
- 浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15mg/m3以下
- 一酸化炭素濃度:測定点全体の算術平均が10ppm以下
喫煙室内に向かう気流を測定する
喫煙室と非喫煙区域の境界の主たる開港面において、扉を完全に開放して測定する。
・測定点は開口面中央の上部・中央部・下部の3点とする。
・浮遊粉じん濃度及び一酸化炭素濃度
・3m~5mの等間隔で引いた縦と横の線の交点とするなど、偏りのないように行う。
・床上約1.2~1.5mまでの一定の高さで行う。
喫煙室を使用する状態で各装置を稼動させ、喫煙者がもっとも多いと思われる時点で測定する。
・喫煙室内に向かう気流
スモークテスターや線香で風向きを確認し、一測定点あたり複数回行う。
・浮遊粉じん濃度
測定時間は「10分/測定点数以上」が望ましい。
各測定点における測定時間の長さは同一とし、1台の粉じん計で全測定点を測定する場合は、各測定点を順番に測定する。
・一酸化炭素濃度
一測定点あたりの測定は複数回行うことが望ましい。
浮遊粉じん濃度、必要換気量及び一酸化炭素濃度が、以下を満たしていない場合は 屋外排気装置の改善等を検討する必要がある。
- 喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2m/s以上喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2m/s以上
- 浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15mg/m3以下浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15mg/m3以下
- 一酸化炭素濃度:測定点全体の算術平均が10ppm以下
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室内での微風速測定に最適! | 円形・矩形ダクトに対応した風量演算機能付! | 風速・風温・湿度を同時計測! |
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受動喫煙の今後について
分煙や禁煙などの対策が進められているものの、まだまだタバコ対策「後進国」であるとしばしば指摘される日本。
厚生労働省では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでにタバコの受動喫煙防止を推進するべく、 管理者や喫煙者が違反した場合の罰則規定なども盛り込んだ法案の提出が予定されており、 今後さらに受動喫煙防止の流れは加速していくと見られています。
世界的な動向はもとより、施設の使用者や労働者の健康を守るため、受動喫煙防止対策を進めていくことが必要です。
そして効果的な対策のためには、レックスの取り扱う様々な計測器も深くかかわっています。
一時の対策だけではなく、適切かつ継続的な測定を行うことで効果のある受動喫煙対策を進めていきましょう。