サーモグラフィーとは?誰でもわかる原理と仕組み解説
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サーモグラフィーとは一体どんな装置なのか、どういった原理や仕組みで動いているのか、皆様はご存知でしょうか。
温度を測る際に使うイメージですが「どうやって動いているのか教えて」となると、意外と難しい質問ですよね。機器の原理や仕組みを知ると知らないでは、計測方法や注意点が異なってくる場合があります。
このページでは説明が難しい、サーモグラフィーの原理や仕組みを「3つのキーワード」と「2つのポイント」に絞って分かりやすく解説していきます。
後半にはサーモグラフィーの計測例紹介や、無料資料のダウンロードもご用意してあります。
そもそもサーモグラフィーとは?
サーモグラフィーとは、①赤外線を原理とし、②物体の表面温度を測り、③色別に画像処理をする仕組み で成り立つ装置のことです。
その方法自体のことをさす場合もあります。
※このページではサーモグラフィー=装置として説明していきます。
その複雑さと反して、一般的にはビデオカメラのような見た目と、対象物をレンズに映すだけというシンプルな操作性が、サーモグラフィーの特徴です。
この「対象に触れずとも温度が分かる」というのは、よく考えるとなかなか不思議な光景ではないでしょうか。
例えば、私たちは自分自身でさえも「熱があるかも」と思ったら、まず自身の肌を触って確認しますよね。
「触れずとも分かる」その原理の正体は赤外線、つまり光のエネルギーを用いています。
サーモグラフィーの原理と仕組みを理解するために重要なキーワード
サーモグラフィーの原理と仕組みを理解するために重要なキーワード
赤外線というのは人の目に見えない光の1種です。
逆に、人の目に見える光を「可視光線」と呼びます。
これを私たちは、太陽光や虹、照明灯などの色を持つ光として認識します。
見えるか見えないかは光線の長さ(波長)に影響され、それより長すぎても短すぎても見えません。
この波長は、短いものから一般的に「紫」・藍・青・緑・黄・橙・「赤」の7色で分類されます。
その範囲外の短くて見えない光が紫外線、長くて見えない光が「赤外線」です。
実は人を含み熱を持つ全ての物体は、この赤外線を放っており、赤外線のエネルギー量と、物体の持つ温度は比例します。
サーモグラフィーはこの原理を用い、温度を可視化しています。
次は「触れずに分かる」という仕組みの謎に関するキーワードです。
これは赤外線の「放射率」が関係しています。
放射率は、目に見えない赤外線エネルギーの反射などのしやすさを、0~1の数値で表す考え方です。
サーモグラフィーは赤外線が放つ、この見えないエネルギー量から放射率の違いを捉え、温度として換算しています。
余談ですが理論上、放射率1のもの(完全に光を吸収し反射などを一切しないもの)を「黒体」といいます。
この世に実在するなかで1になりえるものは存在しませんが、炭などは比較的これに近い物体です。
最後は、熱画像(熱分布画像)についてです。
こちらは単純に、赤外線量を温度として換算したものを、私たちが見て分かるよう色別に分布した図(画像)のことです。
サーモグラフィーといえば、赤や青の画像のイメージが強いのではないでしょうか。
それはこの部分のことを差し、サーモグラフィーそのものを、熱画像(熱分布画像)と呼ぶ場合もあります。
一般的には温度が高いものを暖色~低いものを寒色の熱分布で表します。
※製品によっては色別が上記と異なる場合があります。
サーモグラフィーの原理と仕組みをわかりやすく解説①温度の計測
さて、サーモグラフィーの原理と仕組みについて重要な、3つのキーワードは覚えていただけたでしょうか。
次は本題の、この装置を理解する上でのポイントについて触れていきます。
大きく分けて2つあり、1つ目は「温度の計測」です。
前提として、全ての熱を持つ物体は、赤外線を放っています。
ただし非接触で温度が分かるサーモグラフィーは、接触型体温計などと異なり、熱を直接みているのではなく、この赤外線を温度として換算しています。
身の回りのものだと、ストーブやトースターを想像してみてください。
赤外線は温度が高い程、強いエネルギーを放っており、それをサーモグラフィーが検知しています。
サーモグラフィーの原理と仕組みをわかりやすく解説②可視化
サーモグラフィーは赤外線を原理としておりますが、それは人の目には見えません。
これを色として見えるよう仕組み化したのがサーモグラフィーであり、2つ目のポイントはこの「可視化」です。
シンプルにいうと、多くの計測器が計測結果を「数値」として可視化しているのと同様に、サーモグラフィーは結果を「色の画像」として可視化しています。
計測結果を色として表し、更にそれを世間一般でいう「熱いもの=赤、冷たいもの=青」という考え方に当てはめている為、私たちはサーモグラフィーの熱画像を見るだけで、意識せずとも熱い・冷たいなどの温度情報を、直感的にここから読み取ることができます。
サーモグラフィーの仕組みや特性を活かした計測例
ここまでサーモグラフィーの仕組みについて、簡単に解説してきました。
要約すると①物体の表現温度を赤外線から換算し、計測している
②誰にでも分かるよう熱分布画像として処理している のがサーモグラフィーです。
ではこの装置は、実際どのような場面で活用されているのでしょうか。
最後に実際の計測例を2つご紹介していきます。
サーモグラフィーで雨漏り確認ができる、というのは不思議に聞こえるかもしれませんが、その原理と仕組みを理解していれば意外と単純です。
雨漏り箇所は水で濡れている分、雨漏りが酷い場所ほど、そうでない場所より温度が下がります。
目視では分かりにくいですが、サーモグラフィーに映すことで、雨漏りの強弱や広がり方を直感的に確認できます。
外壁タイルの検査も同様で、本来ムラなく均等な熱分布になるはずが、劣化や亀裂があると部分的に温度に強弱がでることがあります。それをこの装置で確認します。
広い範囲を測るこうした検査には、広角レンズを搭載した機種や、解像度が高くアップにしても画像がぼやけない機種がおすすめです。
※あくまで表面温度の計測です。
対象内部に問題がある場合は、サーモグラフィーでは確認できない場合があります。
前提として、漏電箇所は発熱しているので温度が高くなります。
また、漏電している可能性がある部分に直接触れるのは大変危険な行為です。
非接触で熱を検知するサーモグラフィーを使えば、安全に分電盤の漏電チェックや特定が可能です。
非接触なので、現場の稼働を止めずに検査を行えることも、サーモグラフィーを用いることの強みの1つです。
もちろん漏電の可能性を未然に防げるよう、小まめな定期チェックが推奨されています。
細かい電子部品を測るこうした検査には、至近距離でもピントの合わせられる機種や、鮮明な画像処理ができ細部まではっきり映る機種がおすすめです。
サーモグラフィーの原理と仕組みまとめ
サーモグラフィーの原理と仕組み、ばっちり把握できたでしょうか。
ここでは、サーモグラフィーの理解に必要な3つのキーワードと、2つのポイントを解説、最後に2つの計測例をご紹介しました。
もう周りの方やお客様から「原理や仕組みを教えて」と頼まれても安心ですね。
「もっとサーモグラフィーの計測例や活用場面を知りたい」「実際の機種や型式も教えてほしい」という方向けに、無料の資料ダウンロードもご用意しております。
気になる方は、こちらのダウンロードフォームにて詳細をご確認ください。