リスクアセスメントとは?簡単に意味を解説!進め方・手法についても
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リスクアセスメントとは何なのか、なんとなく知っているものの簡単に意味を説明するのは難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、基本知識と、大まかな進め方、そしてリスクの度合いを表す手法についてご説明します。
リスクアセスメントについて、まずは概要を知りたい!という方におすすめです。
実際に活用できる機器をまとめた資料もご用意しておりますので、ぜひ最後までお読みください。
リスクアセスメントとは?簡単に解説
まずはリスクアセスメントとは何なのか、簡単にご説明します。
リスクアセスメントとは、実務上の危険な部分を発見し、リスクの度合いを見積もり、優先順位をつけてリスクを取り除いたり減らしたりする一連の流れのことです。
簡単に言うと、「リスクを客観的に分析・評価する手順」ということになります。
リスクアセスメントは、労働安全衛生法第二十八条の二
において実施が努力義務となっています。
リスクを分析するとは言いますが、そもそもリスクというのは簡単に言うと何なのでしょうか。
厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」
では、下記のように定義されています。
リスク:危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合
出典:厚生労働省 - 危険性又は有害性等の調査等に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000077404.pdf
ここで言う「危険性」には、機械によるものや、扱う物質の性質によるもの、作業上の行動や場所によるものなどが挙げられています。
また、「有害性」には、扱う原料・材料やガス、粉塵によるもの、温度や騒音・振動、気圧等によるものなどが挙げられています。
リスクアセスメントを実施するうえで鍵となるリスクには、「受け入れ可能なリスク」「許容可能なリスク」「許容不可能なリスク」があります。
「受け入れ可能なリスク」は、危険が発生した場合でも軽微な影響にとどまるものを指し、「許容可能なリスク」は、受け入れ可能なレベルにまでリスクを減らすのはコストなどの面で現実的ではないことを考慮して許容を認めるリスクのことをいいます。
では、リスクアセスメントによって安全管理をする場合、何をもって安全とすればよいのでしょうか?
ISO/IEC GUIDE 51:2014
では、安全は「許容不可能なリスクがないこと」
とされています。
つまり、簡単にまとめると、リスクアセスメントを実施してリスクを許容可能なレベルにまで小さくすることで、安全とみなすということです。
リスクアセスメントを行う意味
ここからは、リスクアセスメントを行う意味について解説していきます。
先ほど、労働安全衛生法第二十八条の二
において実施が努力義務になっているとご説明しましたが、特定の化学物質等を扱う事業場や安全管理者を選任することが義務となっている事業場については、リスクアセスメントが義務付けられています。
しかし、実施が求められているというものの、どのような意味があるのでしょうか。
国によって関連する法律や指針が制定される以前は、労災対策といえば起こってしまった事案の原因を探り、同様の事案の再発防止策を徹底するというやり方が主流でした。ですが、事案が起こっていなくとも業務の中で危険性や有害性の恐れは存在しているため、その意味は限定的になってしまいます。
そこで、潜在するリスクについても対象とし、事前に対策を取るために考えられたのが、リスクアセスメントです。
その意味や目的には、次のようなものがあります。
リスクアセスメントの意味としてまず挙げられるのが、従業員の安全性確保です。
業務上考えられるリスクについて職場全体で把握しておくことで、従業員の安全意識を高め、各自の身を守ることにつながります。
リスクアセスメントの意味として続いて挙げられるのは、労災が起こるのを未然に防止するためというものです。
起こる可能性のあるリスクを客観的に評価し対策を取ることで、守るべきルールがはっきりとし、その理由も納得感のあるものになるため、危険の防止につながります。
厚生労働省の調査でも、リスクアセスメントを実行する職場ではそうでない場合と比べて、災害の発生確率が抑えられるという結果が報告されています。
出典:厚生労働省 - 大規模製造業事業場における安全管理に係る自主点検結果について
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/02/tp0217-1.html
リスクアセスメントの進め方
ここからは、リスクアセスメントの実際の進め方をご紹介します。
リスクアセスメントには5段階のステップがあり、それぞれのフェーズについて順にご説明します。
進め方①危険性を特定する
リスクアセスメントの第一段階として、まずは危険のもとを見つけるところから始めます。
毎日の業務フローや、ヒヤリハット活動、労災事例などを振り返り、5W1H形式で何がどうなった時に何が起こるのか、ということを洗い出していきます。
進め方②危険性ごとにリスクを見積もる
危険性が洗い出せたら、リスクの度合いを見積もります。このステップがリスクアセスメントにおいて大変重要となります。
発生する確率の高さや、危険性の大きさによってリスクの度合いが左右されますが、この具体的な見積もり方法についてはこの後ご紹介します。
進め方③リスクを小さくするための優先順位・内容を検討する
次の段階では、リスクの度合いごとに対応の優先順位を決めていきます。
リスクが最も大きいものについては即時対策が必須となり、そこから緊急度や重要度に応じて段階分けをし、すでに許容可能なレベルのリスクについては対策はしない、という形になります。そして、それぞれの対策の中身について検討を進めます。
厚生労働省のリスクアセスメントマニュアルでは、優先度を4段階に分けて対応内容の区分を設定する例が紹介されています。
進め方④優先度に応じて実施する
リスクを低減する策が固まった後は、決定した優先順位に応じて対応を進めます。
経済産業省のリスクアセスメント・ハンドブックでは、リスクを減らすレベルを「①本質的なリスク除去、②頻度・程度の低減、③安全装置の使用、④警報の設定、⑤説明・注意の周知」という5つに分けています。
リスクの低減策を実施後、管理者や作業者の立場で問題がないかを確認できたらもう一度リスクを評価し、リスクを許容できるレベルにまで減らすことができていれば、実施は完了となります。
進め方⑤結果を記録してノウハウを蓄積する
リスクアセスメントを行い低減策の実施が完了できたら、その結果を資料としてまとめることで、今後の作業工程の参考にしたり社内の別部署の安全管理に活用したりすることができます。
この文書の作成ルールは社内で統一し、分かりやすく管理しておく必要があります。
リスクアセスメントの手法
リスクアセスメントにおいて、リスクの大きさを見積もる手法のうち、代表的なものを3つご紹介します。
これらは一定の尺度で測れていれば問題ないため、リスクアセスメントを行う現場や業種に合ったものを選ぶのが一般的です。
手法①マトリクス法
リスクアセスメントにおいて、リスクの大きさを数で表現せずに表で見積もる方法がマトリクス法(マトリックス法)です。
横軸に危険度の重さ、縦軸に発生の可能性の高さを置き、洗い出した危険性がどこに位置するのかを判定して優先度を決めるやり方です。
手法②加算法
加算法は、リスクの要素を分解し、それぞれの要素の程度を段階分けして点数化し、それらの足し算によってリスクアセスメントを行う方法です。
例としては、「危険の影響の大きさ」「危険のもとに触れる頻度」「危険の回避の可能性」の3つにリスクの要素を分け、それぞれの点数でリスクの度合いを評価するといったものが挙げられます。
手法③リスクグラフ法
リスクグラフ法は、リスクのそれぞれの要素ごとに、選択式で判別していった結果でリスクアセスメントを行う方法です。
まず、作業者の安全に関わる場合、それが軽度なのか/重度なのかに分けます。(S1/S2)
次に、危険のもとに触れる頻度が低いのか/高いのかに分けます。(F1/F2)
その次は、危険を回避できるのか/できないのかで分けます。(A1/A2)
そして、事象の発生可能性が低いのか、中くらいなのか、高いのかを見積もります。(O1/O2/O3)
ここまでの結果、リスクのレベルの値が大きいほど、優先的に対応する必要があることが分かります。
このような手法を用いてリスクの度合いを見積もり、リスクアセスメントを進めていきます。
リスクアセスメントとは?簡単に意味を解説!進め方・ 手法まとめ
ここまで、リスクアセスメントとは?ということを簡単にご説明し、その意味や進め方、手法について解説してきました。
存在するリスクを洗い出し、それを低減していく作業であるリスクアセスメントの重要性や大まかな流れについてお分かりいただけたのではないでしょうか。
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