建設DXとは?解決できる課題や進め方をわかりやすく解説!
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建設DXとは具体的に、どういったことを指すのでしょうか?この記事では建設業界の抱える課題についても触れながら、取り組みを行うことで得られるメリットや取り組みの進め方などをわかりやすく解説していきます。
建設DXに役立つシステムの紹介などもまじえて詳しく解説いたしますので、ぜひ最後までお読みください!
建設DXとは?わかりやすく解説
建設DXとは建設業界におけるDXということですが、そもそもDXという言葉の意味をご存じでしょうか?
まずは「DX」という言葉について、わかりやすく簡潔にご説明いたします。
そもそもDXって?定義について解説
DXは「デジタルトランスフォーメーション」を省略した言葉です。
定義は、企業がAIやクラウドなどのデジタル技術を利用することで業務改善をはかり、自社の市場において優位性を高めること、となります。
下記の特集でDX(デジタルトランスフォーメーション)について詳しく解説していますので、もっと知りたい方はぜひご参考にしてください。
建設DXとは?
建設DXとは、建設業界においてさまざまなデジタル技術を活用することで、建設業界が抱える「人材不足」や「生産性の低さ」といった課題を解消し、業務改善や組織改革を通して改新をはかることです。
つまり、デジタル技術を用いて業務や働き方をより良くする取り組みと言えます。
建設DXで解決できる課題って?
建設DX促進の必要性を感じていただくために、ここからは建設業界における課題と、建設DXで解決できる課題についてどんなものがあるのか、1つずつ解説していきます。
建設DXの課題1つ目は「人材不足」です。国土交通省から発表されている「建設業を巡る現状と課題
」の資料には、就業者数のピークは平成9年の平均685万人で、そこからは減少の一途をたどっていることが記載されています。令和4年では平均479万人となり、平成9年のピーク時より約30%減少していることが読み取れます。
また、同資料によると令和4年時点での就業者の年齢は55歳以上が35.9%、29歳以下が11.7%となっており、業界の高齢化も深刻な問題の一つと言えるでしょう。
出典:国土交通省 - 建設業を巡る現状と課題※実数ベースでは、建設業就業者数のうち令和3年と比較して55歳以上が1万人増加(29歳以下は2万人減少)。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf
2つ目は「生産性が低いこと」です。建設業界は案件によって建設現場が変わり、現場によって仕事内容や環境なども変わってしまいます。そのため、業務プロセスをマニュアルなどにまとめ最適化し、誰でも同じように成果を上げられる体制を整えることが難しい業界だと言えます。また、マニュアル化の難しい手作業での業務も多いため、そういった点も生産性が伸び悩む原因でしょう。
3つ目は「働き方改革の推進」です。建設業界の現状として、他の産業に比べて年間での出勤日数や労働時間の削減がなかなか進んでいません。先ほどもご紹介した「建設業を巡る現状と課題
」によると、令和3年度の建設業界の年間出勤日数は、調査産業計に比べて+12日、製造業に比べて+16日も多いと記載されています。
また、年間実労働時間についても、調査産業計に比べて+90時間、製造業に比べても+68時間とかなり長くなっています。
社会全体で働き方改革が叫ばれている中、建設業界も建設DXを活用して少しずつでも確実に働き方改革を進めていく必要があります。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf
最後は「対面主義」です。建設業界は、建設現場に実際に足を運ばなくてはならない業務が多いことや、直接以外での連絡手段の構築が簡単ではないこと、作業指示書などの共有が必要になることなど、対面でのやり取りを余儀なくされることがとても多い業界です。そのため、テレワークなどの働く場所に縛られない働き方が難しいという課題があり、導入されている現場はとても少ないのが現状です。
建設DXで解決できる課題とメリット
ここからは建設DXを促進することで解決できる課題やメリットについて解説していきます。
建設DXを導入しAIやクラウドなどの技術を活用することで、生産性が低いという課題の解決につながります。
例えば「ecoMo system」というシステムを導入すれば、用途に応じた計測器やセンサーを各現場に設置し、その計測データは遠隔地からWEB上で監視することが可能となります。計測している各現場に行かなくても、データ収集・分析を行い、同時に警告などの制御もできる上、計測データのグラフ化などもできます。
移動時間の削減や人員削減、またグラフ作成のための時間や工数も削減できるので、大幅な生産性の向上が期待できます。
上記のように建設DXを導入することは、生産性の向上と同時に働き方改革の促進にも効果を発揮します。
業務を効率的に行うことができ、人員削減や工数削減ができれば、深刻な課題であった年間出勤日数と労働時間を減らすことにつながります。
建設DXを促進するメリットの1つに、技術の継承が挙げられます。建設業界の抱える課題の中に、高齢化が進んでいるという点がありましたが、そこでもデジタル技術を活用することができます。
数年では習得の難しい建設技術も、長年の経験から得た知識も、データに蓄積することで若い世代に継承していくことができます。若い世代の人材不足が叫ばれている中で、建設DXを通して技術や知識を継承していくことは重要なことと言えるでしょう。
AIなどの技術を搭載した機械などを活用すれば、建設現場での危険リスクを下げることができます。
リスクのある作業を機械化し遠隔で操作することで、安全に業務を行うことができます。
また、安全監視システムを導入することで、作業場所の周囲の安全も確保することも可能です。
例えば「レーザーエリア3面検知システム UGM-50LAP」という機械を導入することで、任意で設定したエリアへ人や物が侵入した際に検知することができます。エリアは最大で3つ設定でき、検知の際の注意喚起方法もカスタマイズすることができるため、あらゆる現場でご活用いただけます。
このような、建設業界ならではのリスクや課題もデジタル技術の活用で減らしていくことができ、建設DXを促進するメリットとなります。
建設DXに欠かせないデジタル技術
建設DXは具体的に、どんな技術を用いるのでしょうか?ここからは建設DXに欠かせないデジタル技術について解説していきます。
現在、様々な場所で活用されているAI(人工知能)は、建設DXにも欠かせない技術の1つです。技術が進歩したことにより、コンピューターが学ぶ力や考える能力を備え、人間にしかできなかった知的行動をコンピューターが行えるようになりました。
建設現場でも、設計の段階でAIを活用し、構造に異常がないかを計算・分析し安全性を担保したり、現場写真をAIが読み取り工事の進捗を判断するなど、効率化・時間短縮化に役立てられています。
SaaS(クラウドサービス)は簡単に言うと、ネットワークを経由して使用するソフトウェア(アプリケーション)のことです。具体的には「チャットツール」や「財務会計ソフト」などです。
建設業界では、クラウドサービスを利用することで、建設現場にいる人とオフィスにいる人が対面でやり取りしなくても同じ資料を確認・編集ができたり、進捗を入力することで即座に現場状況を共有することができます。
ICT(情報通信技術)は、一言で言うとインターネットの事を指します。具体的にはスマートフォンやタブレットなどのデバイスを利用して、離れた場所にいる人と共同作業をしたり、情報を共有したりするのに必要な技術です。建設DXでは、上記だけでなくAIが搭載されているクレーン車などの重機の通信にも利用されています。
ディープラーニング(機械学習)はAIにも利用されている機能で、コンピューターに人間の行動などを学習させることを指します。機械は何百・何千ものデータを記憶することができるため、膨大な量のデータを処理したうえでの判断が可能となります。機械で作業を自動化することや、機械に判断を任せることができるのは、ディープラーニング(機械学習)の機能があるからなのです。
ドローンや映像技術は、建設DXの推進にとって重要な役割を持つ技術です。例えば、カメラ機能を搭載したドローンを活用すれば、安全でない場所や人の目が届かない場所でも遠隔操作で上空から確認することができるため、状況の把握や点検作業に役立てられます。
立体的な図面を使って構造物を示すデジタル技術のことを、BIM/CIM(ビム/シム)と言います。建設における設計などの段階から3Dデータを活用することができるため、誰でも完成イメージがしやすく、人によって認識の違いが起こりづらくなります。また、完成形の想像がしやすいことから、課題などが見えてくるというメリットもあります。
最近よく聞く5Gも、建設DXに役立つデジタル技術です。
5Gは次世代の移動通信システムのことで、速度が速く大容量、信頼性が高く低遅延などの特長があります。
従来の4Gでは通信速度が遅かったり、容量の不足などの問題がありましたが、5Gを使うことでそのような問題の解消が期待できます。同時接続できる数も増えるため、より多くの機械を同時に使用できるようになり、生産性の向上につながるでしょう。
建設DXの進め方を解説
建設DXは少しづつでも進めていくことが大切です。ここからはどのように建設DXを推進していけばいいのかを解説していきます。
まず初めに行うべきことは、現場の課題の理解です。そのために現場の声を聞き、現状を把握することが大切です。同時に、現場の求めているツールや機械などについても理解し、どのようなDXを導入すれば現場の負担が減るのかについて考えましょう。
現場の課題を理解できたら、次は具体的な目的と戦略を計画する必要があります。
また建設DXを進める目的は、上層だけでなく現場にもきちんと共有することが大切です。DX化を進める意味やメリットが理解できれば、現場の協力体制にもつながり、建設DXの推進がスムーズになります。
課題がはっきりし、戦略が立ったらいよいよツールの導入です。また、ツールを導入する際に、その効果を最大限生かすため、デジタル技術に特化した人材を確保することも、建設DXの推進に効果的です。ただ、デジタル人材の確保を難しく感じる場合も多くあります。その際には、DXの推進をサポートしてくれるサービスを利用するのも有効です。
まずは小さなことから始めましょう。クラウドサービスを使って資料や図面を管理・共有することや、AIが搭載された重機を活用してみるなど、現場に合った、取り入れやすいものから始めていきましょう。
いきなりたくさんのDX化を始めるのではなく、ひとつづつ実行することで無理なく建設DXを進めることができます。
様々なシステムや機器を導入し、建設DXが実現した後も、データの収集を続けシステムの改善は継続しましょう。テスト環境では問題なく動いていても、本番で急にうまくいかなくなることもあります。データの収集を続けることで、システムの精度向上にもつながります。
建設DXは1度成功したら終わりではなく、改善を続けていくことが大切です。
建設DXとは?解決できる課題や進め方をわかりやすく解説!まとめ
ここまで、建設DXとは?解決できる課題や進め方について、わかりやすく解説してきました。
建設業界にはあらゆる問題がありますが、この記事を通して、建設DXを進めることでその問題が解決できるだけでなく、様々なメリットがあり、建設業界がよりよくなっていくことやDX化推進の大切さをお伝えできていれば幸いです。
建設業界だけでない、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について詳しく解説した記事もございますので、ぜひご参考にしてください。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!