その便利さに死角なし!?レベルレコーダーアプリ開発秘話インタビュー
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突然ですが、レベルレコーダーって使いますか?
建設現場や鉄道工事現場、道路交通騒音調査などで活躍するレベルレコーダー。
紙に記録されていくものというイメージが強いと思いますが、実は環境計測器販売の株式会社 三工社からレベルレコーダーアプリが製造・販売されているってご存じですか。
今回はゲストにレベルレコーダーアプリを開発した株式会社三工社の井上社長をお招きし、レベルレコーダーアプリの誕生秘話や開発時のエピソード、商品について、わたくし菊田がインタビューをさせて頂きました。
ではさっそくいってみましょう!
株式会社 三工社
代表取締役社長 井上 晃仁さん
2015年 代表取締役に就任。株式会社 三工社は「世の中の"困った"を解決したい」をモットーに主に測定器・計測器関連機器の開発および製造販売をしている。「世の中になければ自分たちで作ればいいじゃないか」と、今回紹介するレベルレコーダ―アプリをはじめ、さまざまな商品を開発し、日々世の中に提供している。
――そもそもレベルレコーダーって何ですか?どんな時に使うものなんでしょう?
井上社長:レベルレコーダーはリオン株式会社から出ている、リオン社製の騒音計や振動計と有線接続して測定データを波形にして紙に記録・出力する装置です。
具体的な利用場所は、道路の交通騒音調査や工場の敷地境界における騒音振動測定、工事現場の近隣対策などで依頼発注元に音や振動のレベルを波形で視覚化して提出する必要がある場合に使います。
――こういったものが世の中にはあるのですね。
さっそくですが、レベルレコーダーアプリを開発しようと思ったきっかけや経緯を教えてください。
井上社長:わかりました。
三工社の大阪営業所を出店したばかりの頃、販路拡大のため某ゼネコンさんのところへ挨拶に行ったんですね。
当時は現場系のアプリと測定器の連携が注目されていたタイミングでして、リオン製の騒音計にはBluetooth(R)で出力する機能がなくアプリと連携ができないのでなんとかならないかとご相談を頂きました。
なので最初は既存のアプリに接続するための装置の開発をすすめていたんです。
しかし、装置が完成しても既存の現場系アプリ側が連携してくれない限り、いつまで経っても売れませんでした。
そして、時間ばかり過ぎてしまうことに焦りを覚え、じゃ自分たちでもアプリ自体も作ってしまえばいいやとなりまして。
――なるほど、そこで持ち前の「世の中になければ自分たちで作ればいいじゃないか」を発揮されてアプリの開発もスタートしたと。
井上社長:そうです。
とはいうものの、何を作ろうか?から始まりいろいろ紆余曲折ありました。
様々なヒアリングを重ねようやく開発にこぎつけたという感じです。
――紆余曲折、、、気になりますが話を進めましょう(笑)。
さて、レベルレコーダーアプリを開発していく中で苦労したポイントはありましたか?
井上社長:実は苦労したポイントは特にないんですよね(笑)
苦労ではないんですけど、開発中に目指したものはありました。
それは少なくとも本家のリオン社製レベルレコーダーと同じ使い勝手で同じことができるものを作るということでした。
もっと言えば、リオン社製レベルレコーダーをさらに便利にさせたものを作るというところを目指しました。
具体的に例をあげると、リオン社製のレベルレコーダーは出力された紙にフリーハンドで書き込みができます。
どういう時に使うかというと、例えば道路交通騒音を測定している場合に騒音計と繋いでいるレベルレコーダーから音の波形データが書き出される際に、たまに対象外の音(救急車の音や犬の鳴き声)が記録されるのですが、そこに「救急車」や「犬」などと書き込んであとから見てその音を除外するか判断するメモが残せるんです。
レベルレコーダーアプリではそういったメモ書きをフリーハンドとさらに自作スタンプ(※1)で残せるようにしたので手書きよりも簡単にメモができるようにしました。
(※1)定型文を入力することにより最大10個のスタンプを活用できます。
――メモ書きがスタンプで出来るようになれば、たしかに便利ですね。
基本的には「リオン社製レベルレコーダー」で出来ることは「レベルレコーダーアプリ」で実現可能ということですか?
井上社長:そこは自信をもって「YES」と言えます。
そして、実はそれだけじゃないんです。
この「レベルレコーダーアプリ」は「レベルレコーダー」の単なるデジタル版ではないんです。
レベルレコーダーアプリだからこそ出来ることがたくさんあります。
たとえば「2CH同時記録機能」、「波形記録画面の加筆修正機能」、「無線接続なので設置場所の制限がない」などレベルレコーダーアプリだからこその便利な機能や利点があります。
簡単に紹介すると2CH同時記録機能では”騒音計×騒音計”や”騒音計×振動計”のように同時に2つの測定器の記録をしたり、1つの騒音計からメインとサブから出力させたりと2つの特性を同時に記録することが可能です。この2CH同時記録機能は発破現場でも活躍が期待できます。
メインチャネルにG特性を、サブチャネルにA特性を記録することで1台の騒音計でG特性とA特性が同時に記録できます。
また波形記録画面の加筆修正機能ですが、こちらは記録した波形画面を引き延ばしたり、圧縮しての表示ができます。
例えば3時間を超える長時間記録をしたとしても、紙だと長いままですが、このアプリでは画面をギュッと圧縮して表示できますし、その際に一緒に圧縮されたスタンプも後から修正可能です。
その他には計測器・測定器とBluetooth(R)での無線接続なので記録の際に場所の制限がありません。
リオン社製のレベルレコーダーの場合、振動のない平らなところに装置を置かないといけませんが、この「レベルレコーダーアプリ」では電波の受信範囲であればどこでも記録可能です。
ですから真夏や真冬の屋外作業の場合、端末操作者はエアコンの効いた車の中で作業ができるので作業者の負担を大幅に軽減できます。
――アプリならではの魅力的な機能がたくさんありますね。
あと、このレベルレコーダーアプリが実用レベルで使えるということが分かるポイントはありますか?
井上社長:もちろんあります。
レベルレコーダーを使うのは計量証明事業登録されている方が多いのですが、その方たちが気にされるのが計量証明検査に合格するかどうかで、その点は大丈夫です。
レベルレコーダーアプリは合格しますので安心してご使用いただけます。
また自治体での導入実績もあります。
某県庁にて新幹線騒音振動計測用に導入実績があり既に追加の引き合いも頂いています。
現在も複数の自治体から導入検討でお話を頂いています。
加えて令和5年度の東京都トライアル発注認定制度に認定されましたので、東京都知事のお墨付きを頂いています。
――レベルレコーダーアプリはアプリケーションということですが、バージョンアップなどもされているのでしょうか?
井上社長:はい、バージョンアップも随時リリースしています。
最近リリースしたVer2.1では「新型の騒音計対応」や「ショートタイムグラフの設定可能時間の追加」、「ボタン追加」などを行いました。
特にお客様からご要望があればバージョンアップのタイミングでご要望にお応えできるようにしています。
――バージョンアップで機能追加できる点もアプリのいいところですよね。
最後に今後のレベルレコーダーアプリの展望を教えてください。
井上社長:そうですね、展望というよりは、まずはこのレベルレコーダーアプリを皆さんに知ってもらいたいです。
本家のレベルレコーダーを使用されている方たちとお話をしていると「え?アプリ版があるんですか?」とか「もっと早くに知りたかったです。」と言って頂けることがあってですね、まだまだ認知されていないなと感じているので、もっと皆さんに知ってもらって使ってもらいたいですね。
使ってもらえたら、便利さには自信ががありますので満足いただけると思うんです。
これからも随時バージョンアップを行って機能追加をしていくので、ぜひ1度体験してみてください。
――本日は貴重なエピソードをお話し頂きありがとうございました。