レーザートラッカーとは?使用のメリットやトータルステーション・スキャナーとの違いも
作成日: 更新日:
レーザートラッカーという測定器をご存じですか?
レーザートラッカーは、非常に高精度かつ広範囲を測定可能で、今大注目の三次元測定機です。
本記事では、このレーザートラッカーの原理や仕組み、活用シーンや類似の測定器との違いについてご説明していきます。また「導入を具体的に検討したい」という方にはレンタルサービスのご案内も行っております。レーザートラッカーについて詳しく知りたい方も、具体的に検討したい方も、ぜひ最後までご覧ください。
レーザートラッカーとは
改めてレーザートラッカーとは、レーザーを使った光学式の三次元測定機のことを指します。レーザートラッカーは、物の位置や形状を非常に正確に測定することができ、測定範囲も広く大型の対象物に対して威力を発揮するのが特徴の一つです。測定したデータは三次元座標として読み取られ、そこから演算などが行われます。
レーザートラッカーは製造や建設、品質管理など、さまざまな分野で活躍しています。例えば、大きな部品を組み立てるときの位置合わせや、精密なパーツのチェックなど、幅広い用途に対応しています。
レーザートラッカーの原理と仕組み
ここからはレーザートラッカーの原理や仕組みについて詳しく解説していきます。
レーザートラッカーの仕組みは、レーザー光を反射器(リフレクター)に当てて、戻ってきた光をもとに距離や角度を計測します。この計測データを解析することで、物体の正確な三次元座標を割り出します。測定精度は数ミクロン単位と非常に高く、測定範囲が広いため数十メートル離れた場所でも安定した測定が可能です。
さらに、レーザートラッカーは「トラッキング機能」と呼ばれる仕組みを持っており、動いている物体でもリアルタイムで測定を続けられます。これにより、部品の製造ラインや建設現場でも効率よく作業を進めることができます。
レーザートラッカーの構成品について
レーザートラッカーは主に、カメラ(投光部・受光部が一体になっている)、三脚、リフレクター、制御PCで構成されています。
発光源となるレーザー光とその反射光を検知するセンサーが一体化しています。この部分が水平方向および垂直方向に動き、常にリフレクターを追尾します。
装置本体を支える役割を果たし、安定性を確保します。
測定対象物に接触する球形の反射器で、内部は鏡面加工が施されています。どの方向からレーザー光を受けても、光を一定の方向に反射する構造を持ちます。
演算ソフトを搭載しており、取得した座標データを処理して寸法値や幾何公差などの情報を算出します。
レーザートラッカーは、三角測距法などを用いてリフレクターまでの距離を計測すると同時に、発光角度をエンコーダーなどで取得します。これらの情報を組み合わせて、リフレクターの中心座標を計算します。
レーザートラッカーを使用するメリットは?
レーザートラッカーの一番のメリットは、非常に高い測定精度と幅広い対象物に対応できる柔軟性です。ミリ以下の誤差でも問題になるような場面でも、正確なデータを取得できます。また、橋や飛行機のような大きな構造物から、小さな精密部品まで幅広く測定できるのも大きな魅力です。測定範囲が広く、従来の方法では時間がかかる作業も短時間で済むため、作業効率が向上します。
ただし、デメリットもあります。一つは、導入コストが高いこと。もう一つは、専門的な知識や技術が必要なため、扱える人材の育成が求められる点です。それでも、高い測定精度や効率性を求められる現場では、これらのデメリットを上回る価値を発揮しています。
こうした特長を活かして、レーザートラッカーは製造業や建築現場、さらには航空機や自動車の組み立て工程など、多くの場面で活用されています。
レーザートラッカーの活用シーン
橋や大型建築物のような大規模構造物の計測では、レーザートラッカーの高精度が欠かせません。例えば、橋の部材を設置する際、ミリ単位の位置確認が必要な場合でも信頼性の高いデータを得ることができます。また、大きな対象物全体を一度に測定できるため、作業時間を大幅に短縮できます。
精密機器の部品組み立てでは、わずかなズレが製品の性能に大きく影響します。航空機のエンジンや医療機器の組み立てでは、レーザートラッカーが活躍します。部品同士の位置をリアルタイムで確認しながら作業を進めることで、厳密な設計基準を満たすことができます。
航空機や自動車の部品検査でもレーザートラッカーが役立ちます。エンジン部品や車体フレームの寸法計測を行い、品質や性能を確保します。例えば、飛行機の胴体の検査では、広範囲を正確に測定できるため、従来の測定方法では難しい作業も効率的に行えます。
建築物や工場のレイアウト測定など、空間解析の場面でもレーザートラッカーが力を発揮します。例えば、新しい生産ラインの設計時に、設備間の正確な距離を測定することで、最適な配置を実現できます。ポータブルなデザインのモデルなら、持ち運びも簡単で、作業現場でスムーズに使用できます。
自動車産業では、車体設計や部品間の精密な位置調整に利用されています。シャーシやボディフレームの正確な位置合わせを行うことで、組み立て工程の効率を向上させるとともに、最終製品の品質向上にも寄与しています。
レーザートラッカーは、計測の精度やスピードが求められる現場において、その性能を最大限に活かし、多くの産業で欠かせないツールとなっています。
レーザートラッカーとトータルステーション・スキャナとの違いについて
「レーザートラッカーと他の測定機器の違いって?」というご質問をよくいただきます。それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
まず、レーザートラッカーはミリメートル以下の高精度な測定が得意です。例えば、航空機部品の製造や精密な機械部品の組み立て現場など、厳しい寸法管理が必要な場所で活躍します。
それに対してトータルステーションは広範囲な測量が得意で、建設現場やインフラプロジェクトで地形を測定する際に使用されることが多い測量機です。リフレクタなどを用いて距離や角度を測定し、三次元座標を取得する一連の測定方法は似た部分がありますが、用途や目的が異なります。
3Dスキャナー(レーザースキャナー)は広範囲の三次元データを一気に収集できるという特徴は似ているものの、測定されたデータは点群として3Dモデルを作る時や空間全体のデータ解析でよく使われるもので、こちらも少し用途が異なります。
一方一般的な三次元測定機(CMM)などと比較した場合は、レーザートラッカーは測定範囲が広く、より大きな対象物の測定が可能なところが大きな違いです。
このように類似している部分も多いものの、どの測定器も用途や得意分野が異なります。例えば、「とにかく高い精度が必要!」という場合はレーザートラッカーが適していますが、「広い範囲を効率よく測量したい!」という場合にはトータルステーションなど、用途に合った機器をお選びいただくことが重要です。
レーザートラッカーを導入してみたいなら
「レーザートラッカーを導入してみたいけど、コストや専門知識のハードルが心配…」と感じていませんか?確かに、レーザートラッカーは高精度な分、価格も高額で扱いには専門的なスキルが必要です。
そこでおすすめしたいのが「レンタル」という選択肢です。必要な期間だけレーザートラッカーをレンタルすれば、高い初期投資を抑えることができます。また、導入前に試験的に使ってみることで、実際の作業に適しているかどうかも確認できます。さらに、レンタルの場合、機器の扱いに詳しいスタッフがサポートしてくれるサービスもあるため、初心者でも安心です。
導入に関する詳細や、どんな作業に適しているのか気になる場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
レーザートラッカーについて まとめ
レーザートラッカーは、その高い精度と柔軟な対応力から、航空機部品の製造、建築現場での計測、自動車産業での品質管理など、多岐にわたる用途で活躍しています。特に、トータルステーションやスキャナとは得意分野が異なり、高精度な計測が必要な場面で強みを発揮します。
一方で、コストや専門知識が求められるため、導入前の検討やレンタルでの活用が効果的です。導入やレンタルに関するご相談があればぜひお問い合わせください。あなたの現場にぴったりの利用方法をご提案します!