PCグラウトフローコーンの種類
フロー試験器のP.Cグラウトフローコーンですが、まず、PC、グラウト、フローコーンという順に説明を進めます。
PC
PCとは、プレストレストコンクリート(Prestressed Concrete)の略です。プレ・ストレスト・コンクリートというふうに言葉を分解すると分かりやすいですが、コンクリート内の鋼材にあらかじめ緊張(ストレス)を与えておくことによって、コンクリートの強度を増す工法です。
これは、コンクリートの特性である、圧縮には強いが引っ張りには弱い、という最大の弱点を克服するためのものです。コンクリートに引張りの力が掛かるというのは、横方向に力が加わって曲がる時に、力が加わった反対側に引張力が生じるのです。また、橋桁を支えるワイヤーの端はコンクリートで固定されていますが、そこにももちろん引張力が掛かります。
コンクリートにプレストレスを導入するには、PC鋼材と呼ばれる高強度の鋼材を使います。PC鋼材は鉄筋の5~6倍の強度を持っています。PC鋼材を引っ張って(これを緊張と言います)張力を与えた後にコンクリートと固定します。すると、引張られていたPC鋼材は元に戻ろうとして、コンクリートに圧縮力を与えるのです。
プレストレスの導入方法は、プレテンション方式とポストテンション方式に大別することができます。これは、コンクリートを打設する前(プレ)に緊張するか、打設した後(ポスト)に緊張するか、によるものです。
グラウト・フローコーン
次に、グラウトについてですが、上記のポストテンション方式の図中に「グラウト」と出ています。グラウトとは充填材のことで、中にPC鋼材を通したシース管(さや管)に充填してPC鋼材を固着するためのものです。
言うまでもなく、シース管の中にグラウトが隙間なく充填されているかどうかは、充填作業中に見ることができませんから、事前に確認試験が必要です。そのグラウトできちんと充填できるかどうかは、グラウトの流動性試験で判定します。その試験をするための器具が、PCグラウトフローコーンです。
試験方法
試験方法は、試料のグラウトを漏斗内に満たした後、下部流出口からグラウトを流下させ、最初にグラウトの流出が途切れるまでの時間をストップウォッチで測定する、というものです。その時間をフロータイム○○秒の流動性として示します。
なお、注意点として、JP漏斗を用いる場合は、流出口からのグラウト流が急激に細くなるまでの流下時間を測定すること、また、測定後、相当量の試料が漏斗内に塊状で残留している場合は、そのグラウトは不適である、とされています。
土木学会基準(JSCE)に「PCグラウトの流動性試験方法」(JSCE-F 531-1999)と「充てんモルタルの流動性試験方法」(JSCE-F 541-1999)があり、前者には試験用器具としてJA漏斗・JP漏斗が規定され、後者にはJ14漏斗が規定されています。
なお、漏斗には、製造元によって、内部を清掃しやすいようにネジで上下分割できるタイプもありますが、基本的には同じものです。
試験用器具 | Jロート14 | J14漏斗(Jロート) | JA漏斗 | JP漏斗 |
---|---|---|---|---|
高さ | 395mm | 392mm | 381.1mm | 422mm |
上端内径 | 70mm | 70mm | 100mm | 70mm |
下端内径 | 14mm | 14mm | 8mm | 14mm |
容積 | 約630ml | 約630ml | 約1,000ml | 約630ml |
試験方法 | JHS 312-1999 「無収縮モルタル品質管理試験方法 |
JSCE-F 541-1999 「充てんモルタルの流動性試験方法」 |
JSCE-F 531-1999 「PCグラウトの流動性試験」 |
JSCE-F 531-1999 「PCグラウトの流動性試験」 |
寸法図 |
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