においの特性
悪臭は、騒音や振動とともに感覚公害と呼ばれる公害のひとつであり、臭いセンサーを使って測定することができます。
その不快な臭いにより生活環境を損ない、主に感覚的・心理的な被害を与えます。
感覚公害は、住民からの苦情や陳情という形で顕在化し、その性格上汚染質等の蓄積はないものの、意外なほど広範囲に被害が広がっていることも少なくありません。
悪臭公害の大部分は、低濃度の悪臭成分が複合し、住民の苦情となります。また、悪臭は風等に運ばれ、広範囲に拡散することがあるため、発生源の特定を困難にしている場合が少なくありません。加えて、嗅覚には個人差があり、その感度は年齢、性別、健康状態、喫煙の習慣などによっても影響されます。
そのため、特定の人には悪臭として感じられるが、他の人には感じないとか、その逆の場合もあったりします。また、人間関係等、悪臭の程度とは別な要因も加わり、問題を複雑にしている場合も見受けられます。
これらのことが、悪臭防止対策を他の公害防止対策と比べて著しく困難なものにしているのです。
においは臭気物質が嗅細胞を刺激することにより感じられます。空気中の臭気物質濃度が高くなれば、それだけにおいも強く感じられるのです。
臭気物質の濃度(量)とにおいの強さの関係についてはウェーバー・フェヒナーの法則と呼ばれる次式で表される関係があることが認められています。
I=k・logC+a(I:においの強さC:臭気物質の濃度k,a:定数)
図1-1は、アンモニアを例にとり臭気強度と物質濃度の関係を示したものです。 この図を悪臭対策面から見た場合、臭気強度4のアンモニア量(10ppm)を90%除去しても臭気強度2.5(1ppm)にしかならず、臭気強度1(0.1ppm)にするためにはその99 %を除去しなければなりません。
つまり、臭気物質の量をほとんど除去しないと周辺住民は良くなったとは感じられないのです。
これは、苦情をなくすためには、徹底した臭気対策が必要であることを示しています。
また、各臭気物質が単独では悪臭苦情とならない濃度であっても、臭気物質が複合することにより強烈な悪臭として苦情が発生することもあるのです。