騒音規制法
騒音規制法(全文)
(昭和四三・六・一〇 法律九八)
改正:昭四五法律一八、法律一〇八、法律一三五、昭四六法律八八
、平六法律四二平七法律七五
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴つて発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行なうとともに、自動車騒音に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定施設」とは、工場又は事業場(鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第二条第二項に規定する鉱山を除く。以下同じ。)に設置される施設のうち、著しい騒音を発生する施設であつて政令で定めるものをいう。
2 この法律において「規制基準」とは、特定施設を設置する工場又は事業場(以下「特定工場等」という。)において発生する騒音の特定工場等の敷地の境界線における大きさの許容限度をいう。
3 この法律において「特定建設作業」とは、建設工事として行なわれる作業のうち、著しい騒音を発生する作業であつて政令で定めるものをいう。
4 この法律において「自動車騒音」とは、自動車(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車であつて総理府令で定めるもの及び同条第三項に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)の運行に伴い発生する騒音をいう。
※一項の「政令」=令一 三項の「政令」=令二 四項の「総理府令」=騒音規制法第二条第四項の自動車を定める省令
(地域の指定)
第三条 都道府県知事は、住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域その他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域を、特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴つて発生する騒音について規制する地域として指定しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定により地域を指定しようとするときは、関係市町村長の意見をきかなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
3 都道府県知事は、第一項の規定により地域を指定するときは、総理府令で定めるところにより、公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
※「総理府令」=規則二
第二章 特定工場等に関する規制
(規制基準の設定)
第四条 都道府県知事は、前条第一項の規定により地域を指定するときは、環境庁長官が特定工場等において発生する騒音について規制する必要の程度に応じて昼間、夜間その他の時間の区分及び区域の区分ごとに定める基準の範囲内において、当該地域について、これらの区分に対応する時間及び区域の区分ごとの規制基準を定めなければならない。
2 市町村は、前条第一項の規定により指定された地域(以下「指定地域」という。)の全部又は一部について、当該地域の自然的、社会的条件に特別の事情があるため、前項の規定により定められた規制基準によつては当該地域の住民の生活環境を保全することが十分でないと認めるときは、条例で、環境庁長官の定める範囲内において、同項の規制基準にかえて適用すべき規制基準を定めることができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の規定による規制基準の設定並びにその変更及び廃止について準用する。
(規制基準の遵守義務)
第五条 指定地域内に特定工場等を設置している者は、当該特定工場等に係る規制基準を遵守しなければならない。
(特定施設の設置の届出)
第六条 指定地域内において工場又は事業場(特定施設が設置されていないものに限る。)に特定施設を設置しようとする者は、その特定施設の設置の工事の開始の日の三十日前までに、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
- 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
- 二 工場又は事業場の名称及び所在地
- 三 特定施設の種類ごとの数
- 四 騒音の防止の方法
- 五 その他総理府令で定める事項
2 前項の規定による届出には、特定施設の配置図その他総理府令で定める書類を添附しなければならない。 ※一項本文の「総理府令」=規則三・四[1] 一項五号の「総理府令」=規則四[2] 二項の「総理府令」=規則四[3] 罰則=法三〇・三二
(経過措置)
第七条 一の地域が指定地域となつた際現にその地域内において工場若しくは事業場に特定施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)又は一の施設が特定施設となつた際現に指定地域内において工場若しくは事業場(その施設以外の特定施設が設置されていないものに限る。)にその施設を設置している者は、当該地域が指定地域となつた日又は当該施設が特定施設となつた日から三十日以内に、総理府令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
※「総理府令」=規則三・五 罰則=法三一・三二
(特定施設の数等の変更の届出)
第八条 第六条第一項又は前条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第六条第一項第三号又は第四号に掲げる事項の変更をしようとするときは、当該事項の変更に係る工事の開始の日の三十日前までに、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、同項第三号に掲げる事項の変更が総理府令で定める範囲内である場合又は同項第四号に掲げる事項の変更が当該特定工場等において発生する騒音の大きさの増加を伴わない場合は、この限りでない。
2 第六条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
※「総理府令」=規則三・六 罰則=法三一・三二
(計画変更勧告)
第九条 都道府県知事は、第六条第一項又は前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことによりその特定工場等の周辺の生活環境がそこなわれると認めるときは、その届出を受理した日から三十日以内に限り、その届出をした者に対し、その事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法又は特定施設の使用の方法若しくは配置に関する計画を変更すべきことを勧告することができる。
(氏名の変更等の届出)
第一〇条 第六条第一項又は第七条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又はその届出に係る特定工場等に設置する特定施設のすべての使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
※罰則=法三三
(承継)
第一一条 第六条第一項又は第七条第一項の規定による届出をした者からその届出に係る特定工場等に設置する特定施設のすべてを譲り受け、又は借り受けた者は、当該特定施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
2 第六条第一項又は第七条第一項の規定による届出をした者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
3 前二項の規定により第六条第一項又は第七条第一項の規定による届出をした者の地位を承継した者は、その承継があつた日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
※罰則=法三三
(改善勧告及び改善命令)
第一二条 都道府県知事は、指定地域内に設置されている特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことによりその特定工場等の周辺の生活環境がそこなわれると認めるときは、当該特定工場等を設置している者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法を改善し、又は特定施設の使用の方法若しくは配置を変更すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、第九条の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで特定施設を設置しているとき、又は前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、同条又は同項の事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法の改善又は特定施設の使用の方法若しくは配置の変更を命ずることができる。
3 前二項の規定は、第七条第一項の規定による届出をした者の当該届出に係る特定工場等については、同項に規定する指定地域となつた日又は同項に規定する特定施設となつた日から三年間は、適用しない。ただし、当該地域が指定地域となつた際又は当該施設が特定施設となつた際その者に適用されている地方公共団体の条例の規定で第一項の規定に相当するものがあるとき、及びその者が第八条第一項の規定による届出をした場合において当該届出が受理された日から三十日を経過したときは、この限りでない。
※罰則=法二九・三二
(小規模の事業者に対する配慮)
第一三条 都道府県知事は、小規模の事業者に対する第九条又は前条第一項若しくは第二項の規定の適用にあたつては、その者の事業活動の遂行に著しい支障を生ずることのないよう当該勧告又は命令の内容について特に配慮しなければならない。
第三章 特定建設作業に関する規制
(特定建設作業の実施の届出)
第一四条 指定地域内において特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は、当該特定建設作業の開始の日の七日前までに、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、災害その他非常の事態の発生により特定建設作業を緊急に行なう必要がある場合は、この限りでない。
- 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
- 二 建設工事の目的に係る施設又は工作物の種類
- 三 特定建設作業の場所及び実施の期間
- 四 騒音の防止の方法
- 五 その他総理府令で定める事項
2 前項ただし書の場合において、当該建設工事を施工する者は、すみやかに、同項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
3 前二項の規定による届出には、当該特定建設作業の場所の附近の見取図その他総理府令で定める書類を添附しなければならない。
※一項本文の「総理府令」=規則三・一〇[1] 一項五号の「総理府令」=規則一〇[2] 三項の「総理府令」=規則一〇[3] 罰則=法三一~三三
(改善勧告及び改善命令)
第一五条 都道府県知事は、指定地域内において行なわれる特定建設作業に伴つて発生する騒音が昼間、夜間その他の時間の区分及び特定建設作業の作業時間等の区分並びに区域の区分ごとに環境庁長官の定める基準に適合しないことによりその特定建設作業の場所の周辺の生活環境が著しくそこなわれると認めるときは、当該建設工事を施工する者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法を改善し、又は特定建設作業の作業時間を変更すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで特定建設作業を行なつているときは、期限を定めて、同項の事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法の改善又は特定建設作業の作業時間の変更を命ずることができる。
3 都道府県知事は、公共性のある施設又は工作物に係る建設工事として行なわれる特定建設作業について前二項の規定による勧告又は命令を行なうにあたつては、当該建設工事の円滑な実施について特に配慮しなければならない。
※「環境庁長官の定める基準」=特定建設騒音基準罰則=法三〇・三二